2025.11.06

アデノウイルスとは?症状や治療法、感染経路を踏まえた予防方法を解説

感染症・消毒
感染症・消毒

夏になると「プール熱」という言葉を耳にすることがあります。プール熱は、アデノウイルスによって引き起こされる感染症の1つです。

子どもの感染事例が多いアデノウイルスですが、その特徴について詳しく知っている方は多くないのではないでしょうか。

今回は、アデノウイルス感染症の症状や治療法、感染経路、家庭内でできる感染対策や予防策について解説します。

ご自身や大切なご家族をウイルスから守るために、ぜひ参考にしてください。

アデノウイルスとは?

アデノウイルスは、一般的に子どもの夏風邪の原因となるウイルスとして知られています。流行のピークは6〜8月ですが、年間を通して感染のリスクがあり、油断はできません。

アデノウイルスは、多くの型を持っているため、一度感染しても再び異なる型に感染することがあります。感染力が強く、大人も感染するウイルスで、家庭や集団生活の場で広がりやすいため注意が必要です。

症状は型によって異なり、発熱やのどの痛み、咳、結膜炎など多岐にわたります。潜伏期間は5〜7日程度とされており、感染の兆候が出るまでに時間がかかることもあります。

アデノウイルス感染症の主な症状と治療方法

アデノウイルスには数多くの型が存在し、多様な症状を引き起こします。代表的な感染症と症状は以下のとおりです。

感染症 主な症状 特徴
呼吸器感染症 長引く発熱

のどの痛み
重症の肺炎を引き起こすことがある
咽頭結膜熱 発熱
のどの痛み
結膜炎
扁桃腺やリンパ節の腫れ
プールで感染することがあったため「プール熱」とも呼ばれる
流行性角結膜炎 目やに
目の腫れ
目の充血
異物感(ゴロゴロする)
結膜炎が治ってきたころに角膜炎が現れる
胃腸炎 腹痛
嘔吐
下痢
乳幼児期に多く、発熱の程度は軽い
出血性膀胱炎 排尿時の痛み
血尿
頻尿
残尿感
真っ赤な血尿が出る

現在、アデノウイルスの特効薬はなく、治療は対症療法(根治を目指す治療ではなく、痛みや不快感を取り除くための治療)となるのが一般的といわれています。

発熱やのどの痛みに対しては、医師の判断で解熱鎮痛剤が用いられます。なお、脱水を防ぐためにこまめな水分補給が大切です。

目の症状がある場合は、眼科を受診しましょう。症状に応じて点眼薬が処方されることがあります。

嘔吐や下痢に対しては、整腸剤が処方される場合もあります。脱水を起こした場合は、医師により補液の投与が検討されます。

重症化や合併症のリスクがある乳幼児や基礎疾患を持つ方は、入院による管理が必要な場合もあるため、医療機関に相談しましょう。

アデノウイルスの感染経路

アデノウイルスの感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」の2つです。

飛沫感染は、ウイルスを含んだ飛沫が口や鼻、目などから入り込むことで起こります。飛沫は1〜2メートル程度飛ぶため、人との距離が近い場面で感染が広がりやすいのが特徴です。

接触感染は、皮膚や粘膜に直接触れたり、ウイルスが付着した物を触った手で口や目を触ったりすることで起こります。

目に症状が出た場合、かゆみや不快感から目を擦ってしまいがちです。しかし、手を介して身の回りの物にウイルスが付着し、再び他者の目や口に入ることで感染が広がる恐れがあります。

幼稚園や保育園では、子ども同士の距離が近かったり、同じおもちゃや遊具を使ったりするため、集団感染が起こりやすくなります。家庭内では、タオルや食器の共有が感染拡大の要因となる場合があるため、注意が必要です。

家庭や集団生活の場では、日常的に手洗いや手指消毒を行い、感染経路を断つことが大切です。

アデノウイルスは大人にも感染する可能性がある

子どもの感染事例が多いアデノウイルスですが、大人にも感染する可能性があります。

しかし、大人の場合は顕著な症状が現れないこともあり、通常の風邪として認識されることも珍しくありません。

大人でも症状が重くなる可能性があるため、家族で感染者が出た場合は感染予防を徹底することが大切です。

大人がアデノウイルスに感染した場合については、以下のコラムをご参考ください。

アデノウイルスは大人も感染する?症状や予防方法を解説

アデノウイルス感染症の予防方法

アデノウイルスは、ノンエンベロープウイルスと呼ばれ、エンベロープウイルスに比べてアルコール消毒薬の効果が限定的です。

そのため、アルコール消毒薬のほかに、熱水や次亜塩素酸ナトリウムによる消毒方法が推奨されています。

アルコール消毒薬を使用する際には、手洗い後に濃度が約80%のものを使うと良いです。

また添加物を加えることでノンエンベロープウイルスに対する効力を高めた酸性アルコールの消毒薬も販売されています。

大切なのは、無理なく取り入れられる予防方法を日常生活に組み込むことです。

以下では消毒や日用品の取り扱いなど、家庭で実践しやすい具体的な予防方法をご紹介します。

タオルや食器は共用しない

アデノウイルスは感染力が強いため、家庭内でタオルや食器を共用しないようにしましょう。

次亜塩素酸ナトリウム液を作って消毒することもできますが、難しい場合は紙皿や紙コップ、ペーパータオルなどを活用すると便利です。

アデノウイルスは、症状が治まっても2週間~1ヶ月ほど排出される場合があります。

「もう症状がないから大丈夫」と思っても家族にうつしてしまう可能性があるので、注意しましょう。

手洗い・うがい・アルコール消毒をする

前述のとおり、アデノウイルスは、子どもはもちろん大人にも感染する可能性があります。アデノウイルスの予防には、アルコール消毒も一定程度有効となり得ます。そのため、家族全員で手洗いやうがい、アルコール消毒を習慣にすることが大切です。

手洗いは、石けんを使って30秒程度かけて行いましょう。手洗いの後にアルコール消毒を加えると、さらに効果的です。

アルコール消毒薬には、持ち運びに便利なジェルタイプやスプレータイプなど、さまざまな種類があります。

ドラッグストアだけでなく、スーパーやホームセンターでも手軽に購入できるため、日常生活に取り入れやすいです。

アデノウイルス感染症から家族を守るために、症状が落ち着いた後も対策を

アデノウイルスはインフルエンザやノロウイルスのように集団発生しやすく、なかには重症化するケースもあるため注意が必要です。

感染が疑われる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

感染対策には、手洗いや手指消毒をおすすめします。ジェルタイプやスプレータイプのアルコール消毒薬は外出時にも便利です。

症状が落ち着いても油断せず、感染経路を踏まえた対策を続けて家族を守りましょう。

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