
夏になると「プール熱」という言葉を耳にすることがあります。プール熱は、アデノウイルスによって引き起こされる感染症の1つです。
子どもの感染事例が多いアデノウイルスですが、その特徴について詳しく知っている方は多くないのではないでしょうか。
今回は、アデノウイルス感染症の症状や治療法、感染経路について解説します。また、家庭内でできる感染対策や予防方法も具体的に紹介します。ご自身や大切なご家族をウイルスから守るために、ぜひ参考にしてください。
アデノウイルスとは?
アデノウイルスは、一般的に子どもの夏風邪の原因となるウイルスとして知られています。流行のピークは6〜8月ですが、年間を通して感染のリスクがあり、油断はできません。アデノウイルスの概要は以下のとおりです。
- ・特徴:型が多く、症状が多様
- ・分類:5類感染症
- ・治療薬:なし
- ・ワクチン:なし
- ・潜伏期間:5~7日間程度(ウイルスの型により異なる)
アデノウイルスは、多くの型を持っているため、一度感染しても再び異なる型に感染することがあります。
症状は型によって異なり、発熱やのどの痛み、咳、結膜炎など多岐にわたります。潜伏期間は5〜7日程度とされており、感染の兆候が出るまでに時間がかかることもあります。
アデノウイルスの潜伏期間については、以下のコラムをあわせてご覧ください。
「アデノウイルスの潜伏期間はどのくらい?感染経路や予防方法も紹介」
アデノウイルス感染症の主な症状とは?

アデノウイルスには数多くの型が存在し、多様な症状を引き起こします。代表的な感染症と症状は以下のとおりです。
| 感染症 | 主な症状 | 特徴 |
| 呼吸器感染症 | 長引く発熱
咳 のどの痛み |
重症の肺炎を引き起こすことがある |
| 咽頭結膜熱 | 発熱
のどの痛み 結膜炎 扁桃腺やリンパ節の腫れ |
プールで感染することがあったため「プール熱」とも呼ばれる |
| 流行性角結膜炎 | 目やに
目の腫れ 目の充血 異物感(ゴロゴロする) |
結膜炎が治ってきたころに角膜炎が現れる |
| 胃腸炎 | 腹痛
嘔吐 下痢 |
乳幼児期に多く、発熱の程度は軽い |
| 出血性膀胱炎 | 排尿時の痛み
血尿 頻尿 残尿感 |
真っ赤な血尿が出る |
アデノウイルス感染症は、ウイルスの型によって症状が異なります。発熱やのどの痛み、咳のほか、腹痛や嘔吐、下痢などの消化器系の症状、目の症状などが現れる場合もあります。
なお、消化器系の症状を引き起こすウイルスとしては、ノロウイルスも有名です。
ノロウイルスの症状や対策については、以下のコラムをあわせてご覧ください。
「ノロウイルスの症状とは?かかったときの水分補給や食事の仕方、予防方法を紹介」
アデノウイルス感染症の治療方法
現在、アデノウイルスの特効薬はなく、治療は対症療法となるのが一般的とされています。対症療法とは、根治を目指すのではなく、症状に合わせて痛みや不快感を取り除くために行われる治療です。
発熱やのどの痛みに対しては、医師の判断で解熱鎮痛剤が用いられます。なお、脱水を防ぐためにこまめな水分補給が重要です。
目の症状がある場合は、眼科を受診しましょう。症状に応じて点眼薬が処方されることがあります。
嘔吐や下痢に対しては、整腸剤が処方される場合もあります。脱水を起こした場合は、医師により補液の投与が検討されます。
重症化や合併症のリスクがある乳幼児や基礎疾患を持つ方は、入院による管理が必要な場合もあります。症状が出たら早めに医療機関に相談しましょう。
アデノウイルスの感染経路
アデノウイルスの感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」の2つです。
飛沫感染は、ウイルスを含んだ飛沫が口や鼻、目などから入り込むことで起こります。飛沫は1〜2メートル程度飛ぶため、人との距離が近い場面で感染が広がりやすいのが特徴です。
接触感染は、皮膚や粘膜に直接触れたり、ウイルスが付着した物を触った手で口や目を触ったりすることで起こります。
目に症状が出た場合、かゆみや不快感から目を擦ってしまいがちです。しかし、手を介して身の回りの物にウイルスが付着し、再び他者の目や口に入ることで感染が広がる恐れがあります。
とくに、幼稚園や保育園では、子ども同士の距離が近かったり、同じおもちゃや遊具を使ったりするため、集団感染が起こりやすくなります。家庭内では、タオルや食器の共有が感染拡大の要因となる場合があるため、注意が必要です。
アデノウイルスは大人にも感染する?
子どもの感染事例が多いアデノウイルスですが、大人にも感染する可能性があります。
しかし、大人の場合は顕著な症状が現れないこともあり、通常の風邪として認識されることが少なくありません。
大人でも症状が重くなる可能性があるため、家族内に感染者が出た場合は感染予防を徹底することが重要です。
大人がアデノウイルスに感染した場合については、以下のコラムをあわせてご覧ください。
アデノウイルス感染症の予防方法

アデノウイルス感染症を防ぐには、日頃から心がけておきたいことがあります。とくに、感染が広がりやすい時期は、以下の5点を意識して生活することが望ましいです。
- ・手洗い・うがい・アルコール消毒を徹底する
- ・タオルや食器は共用しない
- ・プールや温泉施設の利用後はシャワーで体を洗う
- ・なるべく人混みを避ける
- ・生活習慣を整えて免疫力を高める
5つの予防方法について、それぞれ詳しく説明します。
手洗い・うがい・アルコール消毒を徹底する
家庭や集団生活の場では、日常的に手洗いや手指消毒を行い、感染経路を断つことが大切です。前述のとおり、アデノウイルスは子どもだけでなく大人にも感染する可能性があります。そのため、家族全員で手洗いやうがい、アルコール消毒を習慣にすることが重要です。
手洗いは、石けんを使って30秒程度かけて行いましょう。アデノウイルスの予防には、アルコール消毒も一定程度有効と考えられています。そのため、手洗いの後にアルコール消毒を加えるとさらに効果的です。
アルコール消毒薬を使用する際には、手洗い後に濃度が約80%のものを使うと良いでしょう。
アルコール消毒薬には、持ち運びに便利なジェルタイプやスプレータイプなど、さまざまな種類があります。ドラッグストアだけでなく、スーパーやホームセンターでも手軽に購入できるため、日常生活に取り入れやすいです。
ただし、アデノウイルスはノンエンベロープウイルスと呼ばれ、エンベロープウイルスに比べてアルコール消毒薬の効果が限定的です。
手で触れるタオルや器具には、熱水や次亜塩素酸ナトリウムによる消毒方法が推奨されています。なお、次亜塩素酸ナトリウムは刺激が強いため、手洗いなどには使用しないよう注意してください。
また、添加物を加えることでノンエンベロープウイルスに対する効力を高めた酸性アルコールの消毒薬も販売されています。事前に、利用できる箇所や使用上の注意を確認したうえで活用しましょう。
大切なのは、無理なく取り入れられる予防方法を日常生活に組み込むことです。
タオルや食器は共用しない
アデノウイルスは感染力が強いため、家庭内や集団生活でタオルや食器を共用しないようにしましょう。
次亜塩素酸ナトリウム液を作って消毒することもできますが、難しい場合は紙皿や紙コップ、ペーパータオルなどを活用すると便利です。
アデノウイルスは、症状が治まっても2週間~1ヶ月ほど排出される場合があります。「もう症状がないから大丈夫」と思っても家族にうつしてしまう可能性があるので、注意しましょう。
プールや温泉施設の利用後はシャワーで体を洗う
アデノウイルスは、前述のとおりプールを介して感染するケース(プール熱:咽頭結膜熱)もあります。プールの場合は、目や口からアデノウイルスが入って感染する可能性が考えられます。
そのため、プールや温泉施設を利用したら、感染予防のためにシャワーで十分に体を洗い流すことが重要です。また、利用後だけでなく、利用前にもシャワーで体を洗うようにしましょう。
なお、プールや温泉施設、シャワーを使用する際にも、タオルの共用はしないようにしてください。
なるべく人混みを避ける
飛沫感染を予防するために、人の多い場所に出かけることを避けるのも1つの方法です。とくに、免疫力が低下しているなど、感染リスクが高い場合は外出を控えることが望ましいです。
人混みを避けるような生活を心がければ、感染機会を減らすことができます。仕事や生活に支障のない範囲で、予防につながるような行動をしましょう。
生活習慣を整えて免疫力を高める
体の免疫力が低下すると感染症にかかりやすくなってしまいます。そのため、日頃から免疫力を高めておくことが感染症の予防につながります。主に、以下のポイントを意識して生活することが望ましいです。
- ・規則正しい生活:決まった時間に起床し、体内時計のリズムを整える
- ・食事:1日3食、栄養バランスの整った食事をとり、良好な栄養状態を保つ
- ・運動:体力や筋力が落ちないよう、ウォーキングや筋トレを継続的に取り入れる
- ・睡眠:質の良い睡眠をとれるよう、入眠環境を整え、睡眠時間を十分に確保する
- ・ストレス解消:笑顔になれることやリラックスできることを取り入れる
適度な運動を取り入れると血行が促進され、体温や代謝の向上につながります。運動や良質な睡眠は、ストレス解消にも役立ちます。いずれも重要なポイントのため、日々生活の中で意識して取り入れましょう。
アデノウイルス感染症の感染拡大を防ぐには?
アデノウイルス感染症は、接触感染と飛沫感染で拡大します。そのため、自身が感染者になった場合や家族が感染した場合は、拡大を防ぐための対策を行うことが重要です。具体的には、以下のような対策を実施すると良いでしょう。
- ・マスクをする(自身が感染した場合と感染した家族をケアする場合)
- ・換気や消毒を行う
- ・感染者との密な接触を控える
- ・煮沸消毒(タオル、枕カバーなど)をする
- ・乳幼児が感染した場合、おむつ替えの際の消毒や適切な汚物処理を徹底する
アデノウイルスは熱に弱いため、煮沸消毒は感染拡大予防に役立ちます。いずれの対策も、前述の予防方法とあわせて行うことが望ましいです。
アデノウイルス感染症は症状が落ち着いても対策を!感染経路を踏まえて予防しよう
アデノウイルスはインフルエンザやノロウイルスのように集団感染しやすく、なかには重症化するケースもあるため注意が必要です。感染が疑われる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
感染対策には、手洗いや手指消毒をおすすめします。ジェルタイプやスプレータイプのアルコール消毒薬は外出時にも便利です。また、なるべく人混みを避けることや、日頃から免疫力を高めておくために生活習慣を整えることも、予防のために心がけると良いでしょう。
感染が疑われる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。また、症状が落ち着いても油断せず、感染拡大を防ぐための行動が重要です。感染経路を踏まえた対策を続けて家族を守りましょう。

手指・皮膚の洗浄・消毒に
広範囲のウイルス・細菌に効く
高濃度アルコールジェル
https://www.kenei-pharm.com/tepika/products/







