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2020.09.15

乾燥肌・スキンケア

【医師監修】ガサガサ肌に強いかゆみ…。つらい症状に悩まされる乾燥性湿疹について解説

ガサガサ肌に強いかゆみ…。つらい症状に悩まされる乾燥性湿疹について解説

ちょっと衣服がこすれたり、髪が触れたりするだけでもちくちくとした違和感や、かゆみを感じることがある乾燥肌。しかしこうした症状に加えて、肌がひび割れていたり、赤いブツブツとした湿疹が発症したりする場合は、単なる乾燥肌ではなく、乾燥性湿疹の可能性があります。今回は、肌が乾燥することで引き起こされる皮膚疾患の一つ、乾燥性湿疹について解説します。

乾燥性湿疹とは

肌にはもともと「バリア機能」と呼ばれる役割が備わっています。一般的に健康な肌はバリア機能が整っている状態で、これにより外部からの刺激や、内部の水分蒸発を防ぐことができます。ところが、何らかの要因によってバリア機能が低下すると、肌は水分を保てなくなり、刺激を受けやすくなってしまいます。こうした肌状態は「乾燥肌」と呼ばれますが、肌の乾燥がさらに進行して、肌がガサガサになったり、ひび割れたり、ブツブツの赤い湿疹が発生する場合、乾燥肌が進行した「乾燥性湿疹」になっている可能性が考えられます。

肌の乾燥に悩む女性

●主な症状
乾燥性湿疹を発症している箇所は、肌のバリア機能が低下している状態です。放っておくと肌内部の水分がどんどん失われ、ダメージが進行してしまう可能性があります。適切なケアを行うためにも、進行度ごとの症状の特徴を押さえておきましょう。

<軽度>
・肌が白く粉を吹いている
・衣服の締め付けや、こすれ、外気温の変化などでかゆみを感じる

<中度>
・肌の表面にひび割れが生じ、ガサガサになる
・肌に赤みや、ブツブツとした湿疹が発生する
・かゆみが強くなる

<重度>
・皮膚がゴワゴワと硬くなる
・かゆみがさらに強くなり、日中に仕事や家事に集中できなかったり、夜中にかゆみで目が覚めたりする
・かいた部分がジクジクし、体液が染み出る

●原因
そもそも肌のバリア機能は、肌の一番外側にある角質層を覆う「皮脂」、角質層の細胞内部の水分を保持する「天然保湿因子」、角質層の細胞をつなぐ「角質細胞間脂質」の3つがバランスよく整っていることで保たれています。しかし、これらの物質の分泌は加齢によって減少するため、中高年になると、皮脂の少ない手足、特にひざから足首までの部分で乾燥性湿疹の症状がみられやすくなります。
また、年齢に関わらず、入浴時に熱いお湯に長時間浸かったり、体をタオルでゴシゴシ洗ったりするなど、皮脂を取り過ぎる生活習慣によっても引き起こされる可能性があります。特に皮脂の分泌が減り、空気の乾燥する秋から冬にかけて発症するケースが多く、皮脂の分泌量が少ない女性の方が、男性よりもなりやすい傾向があるようです。

●対処法
軽度であれば、乾燥肌と同様に保湿ケアを丁寧に行うことで症状は改善されると考えられています。また、皮脂の分泌が増え、湿度も上がる夏頃には症状が軽くなったり、自然に回復したりすることもあるようです。ただし、重度になると強いかゆみや皮膚の炎症に悩まされるようになるため、皮膚科で薬を処方してもらう必要があります。乾燥性湿疹は適切に対処しなければどんどん悪化するため、保湿ケアを行っても症状が改善しない場合は、速やかに皮膚科へかかりましょう。

●アトピー性皮膚炎との違い
乾燥性湿疹と似たような皮膚疾患に、アトピー性皮膚炎があります。どちらも肌がガサガサと荒れ、かゆみをともなう赤い湿疹が現れますが、原因や発症の時期に違いがみられます。
乾燥性湿疹の原因は、先に解説した通り、バリア機能を保つ物質が減少することで引き起こされます。一方、アトピー性皮膚炎は、発症する詳しい原因はまだ分かっていませんが、症例として多いのは、遺伝による体質や、ダニやハウスダストなどによるアレルギー反応です。
発症する時期は、乾燥性湿疹の場合は秋から冬にかけて発症する人が多いですが、アトピー性皮膚炎は、季節に関わらず発症し、良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら、長期間続く特徴があります。乳幼児や小児で多くみられ、成長とともに軽快し、大人になると治るケースが多いです。
原因も症状の現れ方も異なりますが、どちらも重度の場合、薬による治療が必要となってきます。肌に強いかゆみを伴う湿疹がみられる場合は、速やかに皮膚科へかかりましょう。

バリア機能を整え、乾燥性湿疹を予防・改善

腕を保湿する女性

乾燥性湿疹は、バリア機能を維持する「皮脂」「天然保湿因子」「角質細胞間脂質」が減少し、バリア機能が低下することで引き起こされます。加齢によって減少するのは自然な変化であるため防ぐことは難しいですが、保湿ケアや生活習慣を見直すことで、バリア機能を整え、乾燥性湿疹を予防したり、軽度であれば症状を改善したりすることは可能とされています。以下のポイントを踏まえ、それぞれ実践しましょう。

●バリア機能を整える保湿ケアのポイント
・入浴時のお湯が熱すぎると、皮脂が過度に洗い流されてしまいます。湯舟の温度は38~40度程度に設定しましょう。
・体を洗う際にゴシゴシこすると肌を傷つけ、皮脂も取り過ぎてしまいます。たっぷり泡を立てて、柔らかい綿素材のタオルや、手の平で洗いましょう。
・入浴後や洗顔後は、肌が乾燥しやすい状態です。速やかに保湿剤を塗りましょう。肌に水分が残っている状態でクリームや白色ワセリンなどの保湿剤を塗ると、より肌が潤います。

●バリア機能を守り、かゆみをコントロールする生活習慣のポイント
・アルコールや辛い食べ物などの刺激の強い飲料や食べ物は、かゆみを増幅させてしまいます。できるだけ控えましょう。
・日焼けをすると肌にダメージを与え、バリア機能を低下させてしまいます。日焼け止めを塗ったり、日傘や肌の露出を控えた服装を心がけるようにしましょう。
・虫に刺されるとかゆみが生じ、無意識のうちに肌を掻き毟って、肌を傷つけてしまいます。野外に出る際は虫除けを使う、刺されたら冷やして対処するなどしましょう。つい掻いてしまっても肌を傷つけないよう、あらかじめ爪を短く切っておくのもよいでしょう。
・直接肌に触れる肌着は、木綿素材がよいとされています。起毛素材や化学繊維の中には、肌を刺激してかゆみを誘発するものもあるため、避けた方が安心でしょう。
・ストレスも、かゆみを増幅させる要因となります。スポーツや趣味を楽しむなどして上手にストレスを解消しましょう。不規則な生活もストレスのもととなるので、生活のリズムを整えることも大切です。

●重度の場合は皮膚科で治療を受けよう
保湿ケアや生活習慣を見直しても症状が改善しない場合は、皮膚科で治療を受けましょう。かゆみが強い場合はステロイド外用薬を医師の指示に従って湿布し、肌の炎症を抑えます。外用薬だけではかゆみが治まらなければ、抗ヒスタミン薬を内服することもあるようです。この時、眠気や体のだるさが現れるなど薬が合わないと感じたら、薬の量を減らしたり、別の薬に変えてもらうこともできますので、症状が落ち着いてきたら、保湿外用薬に切り替え、症状がぶり返さないように保湿を続けます。
乾燥性湿疹の程度は個人差があり、薬の効果の現れ方も人それぞれです。長期に渡って治療が必要なケースもありますが、必ず医師の指示を守り、適切に薬を用いるようにしましょう。

まとめ

バリア機能が損なわれて、肌がひび割れたり、赤い湿疹が出たりする乾燥性湿疹は、ちょっとした刺激にも敏感に反応し、強いかゆみを生じるようになります。つらい症状に悩まされないためにも、保湿ケアや生活習慣を見直すことで、肌のバリア機能を整えることが大切です。それでも症状が改善されない場合は、速やかに皮膚科へかかり、適切な治療を受けるようにしましょう。

木村医師よりコメント

皮膚が乾燥していることは「乾燥性湿疹」や「乾皮症」とよばれます。乾燥がひどくなるとかゆみをともない、掻きこわして炎症を起こすと湿疹の状態になってしまいます。皮膚が乾燥しやすい時期は、大気が乾燥する時期でもあります。季節問わず保湿することが理想的ですが、秋頃からは特に皮膚を保護する効果の高い軟膏や、クリームタイプの保湿剤を使用するとよいかもしれません。

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監修者

医師・木村眞樹子

都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科として在勤中。内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。総合内科専門医。循環器内科専門医。日本睡眠学会専門医。ビジョントレーニング指導者1級資格。

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