VOL.22 便秘の原因となる「むくみ腸」とは?主な症状や改善方法を紹介

体の「むくみ」と聞くと、顔や手足のむくみを連想する方が多いのではないでしょうか。
しかし、むくみやすいのは目に見える場所だけとは限りません。あまり知られていませんが、実は腸もむくみやすい部位の1つです。そして、腸のむくみは便秘の原因にもなり得ます。
今回は、腸がむくんでしまう「むくみ腸」とは何か、原因や症状を解説し、改善方法を紹介します。
腸がむくんでしまう「むくみ腸」とは?
むくみとは、体内の不要な水分が十分に排泄されず、細胞間の水が異常に増加した状態のことをさします。体内の水分は血管やリンパ管を通って全身を回っています。
しかし、長時間同じ姿勢を続けたり血管を圧迫する体勢をとっていたり、心臓や腎臓の疾患があったりすると、血流障害が起きて水分がうまく循環せず、むくみが発生してしまいます。
例えば、デスクワークや立ち仕事を長時間続けた場合、足がむくむことがあります。足のむくみは自覚しやすいですが、同様の原理で気づかないうちに腸などの内臓がむくむケースも存在します。
この水分を多く含んでむくんだ腸を、「むくみ腸」といいます。
むくみ腸の主な原因
「むくみ腸」は何が原因で引き起こされるのでしょうか。考えられる原因を3つ紹介します。
体の冷え
一般的に、体が冷えて血管が収縮すると、血の巡りが悪くなって血中の水分が滞ってしまいます。
冷え性の方は血の巡りが悪いため、手足がむくみやすいですが、これは腸にも当てはまり、むくみ腸を引き起こす要因にもなり得ます。
便秘
腸には、便に含まれる水分を吸収する働きがあります。
しかし、便秘になると腸内に便が溜まり、その水分を吸収し続けてしまいます。そのため、腸に水分が溜まってむくむことが考えられます。
加えて、腸がむくむと血行が悪くなり、腸のぜん動運動が弱まるため、さらに便秘を悪化させる原因にもなります。
慢性的な下剤の使用
便秘を解消するために下剤を慢性的に使用していると、腸の粘膜が炎症を起こす場合があります。その結果、血流の悪化によりむくみ腸を引き起こすことが考えられます。
薬を服用する場合は、用法や用量を十分に確認し、必要な場合にのみ適正に用いるようにしましょう。
むくみ腸が原因で起こる症状
腸のむくみは目視では確認できませんが、体にさまざまな症状が現れます。以下のような異変を感じたら、むくみ腸の可能性があるので注意しましょう。
便秘の慢性化
前述のとおり、便秘とむくみ腸には大きな因果関係があります。3日以上便通がないという状態が1ヶ月に複数回ある方は、むくみ腸を疑ったほうが良いかもしれません。
また、以下のような便秘の症状が続く場合は、むくみ腸になっている可能性があります。
- ・お腹が固い
- ・排便はあるが、毎回残便感が生じる
- ・おならが臭い
ぽっこりお腹
腸がむくむと含んだ水分により重くなり、どんどん下がってくる傾向があります。
下腹部が膨らんだ「ぽっこりお腹」が気になる場合は、むくみ腸が原因かもしれません。
太りやすくなる
腸には栄養素を分解・吸収する働きがあります。
しかし、腸がむくむとその働きが鈍り、脂肪や糖などの分解が妨げられます。その結果、体内のエネルギーがうまく消費されず、太りやすくなります。
むくみ腸による便秘の悪化を改善する方法

前述のとおり、便秘はむくみ腸の原因の1つです。放置するとむくみ腸が悪化し、便秘が慢性化するリスクもあります。
むくみ腸によって便秘が悪化する要因としては、以下のものが考えられます。
- ・生活リズムの乱れ
- ・食事の栄養バランスの乱れ
- ・腸内環境を整える食品の摂取不足
- ・運動不足
- ・ストレス
むくみ腸の改善や予防のためには、これらの要因を改善することが大切です。腸内環境を整えて、腸内の血流を良好に保つために、以下の6つの方法を取り入れると良いでしょう。
- ・生活リズムを整える
- ・栄養バランスの良い食事を取る
- ・乳酸菌と食物繊維を摂取する
- ・適度な運動を行う
- ・湯船に浸かる
- ・ストレス解消を心がける
それぞれの方法について、詳しく説明します。
生活リズムを整える
腸内環境を整えるためには、睡眠時間や食事時間を決め、毎日なるべく同じリズムで生活することが大切です。
生活リズムが整うと体内のリズムも安定し、腸の働きが良くなることが期待できます。
栄養バランスの良い食事を取る
肉や魚などのタンパク質の多い食品や揚げ物ばかりを食べていると、腸内の悪玉菌が増加したり、胃腸が弱って動きが鈍ったりする恐れがあります。
また、過度なダイエットなどで極端に食事量を減らすと、便のカサが減って腸のぜん動運動が弱まることも考えられます。
そのような事態を避けるためには、1日3食バランスの良い食事を取ることが大切です。
便秘に効く食べ物については、以下のコラムをご参照ください。
「便秘に効く食べ物を紹介!おすすめのメニューやそのほかの改善方法も紹介」
乳酸菌と食物繊維を摂取する
乳酸菌には腸内の善玉菌を増やし、腸のぜん動運動を促す効果が期待できます。
また、食物繊維には便のカサを増すとともに、便をやわらかくする作用があります。食物繊維やオリゴ糖は善玉菌のエサとなるため、果物とヨーグルトなど、乳酸菌と食物繊維を合わせて摂取できるメニューがおすすめです。
乳酸菌は、ヨーグルトのほか、チーズ、納豆、漬物、味噌、醤油などに含まれています。継続的な摂取が望ましいため、毎日の食事に取り入れると良いでしょう。
乳酸菌や食物繊維については、以下のコラムをご参照ください。
「【医師監修】便秘には乳酸菌が有効?期待できる効果とおすすめ食材」
「【医師監修】食物繊維が多い食べ物を紹介!摂取量の目安も解説」
適度な運動を行う
全身の血流を良くするためには、有酸素運動が有効といわれています。例えば、ウォーキングや水泳などがおすすめです。
また、腸に刺激を与えてぜん動運動を促したい場合は、腹圧を高めるエクササイズを行うと良いでしょう。
例えば、腹筋や背筋のほか、マッサージやストレッチなどに効果が期待できます。
自身の手で下腹部をマッサージすると、腸が刺激され排便に必要なぜん動運動が促されます。お腹に手のひらを当てて、ゆっくりと「の」の字を書くように時計回りにマッサージしましょう。仰向けになって、リラックスした状態で3~5分程度を目安に行うことが望ましいです。
ストレッチで骨盤を回す・腰をひねるような動きを取り入れるのも良いでしょう。仰向けで膝を掴みながら太ももをお腹に引き寄せ、ゆっくり左右に倒す動きなどがおすすめです。また、ひねる動きが多いラジオ体操も取り入れやすい運動の1つです。
腹筋やマッサージについて、以下のコラムをご参照ください。
「【医師監修】筋トレは便秘に効果ある?手軽にできる腹筋や運動方法を伝授!」
「【医師監修】便秘解消に期待できるマッサージやツボ押しを紹介」
湯船に浸かる
血行を改善するためには、湯船に浸かるのも効果的です。
ゆっくりと体を温めてリラックスすることで、腸のぜん動運動を促す副交感神経の働きが促進されます。
ストレス解消を心がける
ストレスは自律神経を乱し、便秘を引き起こす要因となるため、溜めないようにすることが大切です。
生活リズムを整えて十分な睡眠時間を確保すると、自律神経が整い、ストレス緩和にも役立ちます。
湯船に浸かるほか、リラックスできることや楽しめることを日常的に取り入れると良いでしょう。適度な運動もストレス解消につながります。
ストレスの改善については、以下のコラムをご参照ください。
「【医師監修】便秘とストレスは関係する?リスクや改善方法を紹介」
便秘症状を早く改善したいなら、酸化マグネシウム便秘薬を試す方法もある
便秘の症状をやわらげたいなら、市販の便秘薬を服用する方法もあります。便秘薬にはさまざまな種類がありますが、酸化マグネシウム便秘薬がおすすめです。
酸化マグネシウムには腸内の水分を集める働きがあり、便を柔らかくするのに役立ちます。
服用が初めての場合やほかの薬を服用中の場合、または別の疾患の疑いがある場合は、服用する前に医療機関へ相談しましょう。
なお、健栄製薬のオンラインショップでは、酸化マグネシウム便秘薬を購入可能です。ぜひ利用を検討してみてください。
日常生活から便秘とむくみ腸を予防しよう
むくみ腸は、冷え性や便秘などが原因となる血行不良によって引き起こされます。むくみ腸を放置していると、便秘の長期化や慢性化につながる恐れもあるため、注意が必要です。
便秘の症状が続いている場合は、生活習慣や食生活を改善することで、腸の状態が良くなるかもしれません。ご自身で改善方法を試しても変化がない場合や、症状が重い場合は、医療機関に相談しましょう。









