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VOL.129 慢性便秘とは?主な症状や原因・解消方法について解説

便が出ない日が続く、残便感がある、お腹が張っているなどの便秘の症状に悩んだ経験がある方は多いかもしれません。慢性的な便秘の症状は、生活の質(QOL)を低下させます。

「たかが便秘」「体質だから仕方ない」などと考えず、便秘と真剣に向かい合う姿勢が大切です。

今回は、慢性便秘の基本的な知識と主な症状、原因、解消方法について解説しています。お通じを改善したい方は、ぜひ参考にしてください。

慢性便秘症とは?

「便通異常症診療ガイドライン2023」(編集:日本消化管学会)では、慢性便秘症を「慢性的に続く便秘のために日常生活に支障をきたしたり、身体にも様々な支障をきたしうる病態」と定義しています。

慢性便秘症の診断基準は、以下の6項目のうち、2項目以上を満たすことです。

  • ・排便の4分の1超の頻度で,強くいきむ必要がある
  • ・排便の4分の1超の頻度で,兎糞状便または硬便である
  • ・排便の4分の1超の頻度で,残便感を感じる
  • ・排便の4分の1超の頻度で,直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある
  • ・排便の4分の1超の頻度で,用手的な排便介助が必要である(摘便・会陰部圧迫など)
  • ・自発的な排便回数が,週に3回未満である

6ヶ月以上前から症状があり、最近3ヶ月間で診断基準を満たしている場合には、慢性便秘症と診断されます。

ただし、慢性的な便秘に悩み医療機関を受診した場合、上述した期間に該当しなくても慢性便秘と診断される可能性があります。

出典:「便通異常症診療ガイドライン2023」(編集:日本消化管学会)

慢性便秘の主な症状

便秘の主な症状は次の3つです。

  • ・排便回数の減少
  • ・排便困難感
  • ・残便感

十分な量の便が排出できないと、腹部膨満感や腹痛、腹鳴などが起こりやすくなります。食欲の低下や吐き気の症状が出る場合もあるでしょう。快適に便を排出できず排便困難感や肛門のつまり感を感じると、過度のいきみにもつながります。

また、排便習慣の急な変化や予期せぬ体重の減少、血便、腹部にしこりを感じる、腹水の疑いがある、発熱、関節痛、強い腹痛などがある場合は、重大な病気が隠れている場合があります。その場合は、医療機関に受診しましょう。

慢性便秘症の種類

慢性便秘症は、以下の2種類に分けられます。

  • ・機能性便秘
  • ・器質性便秘

ここでは、それぞれの種類について詳しく解説します。

機能性便秘

機能性便秘とは、大腸の形態的変化を伴わない便秘のことです。つまり機能性便秘の方の大腸の形は正常で、大腸の形が便秘の直接の原因ではありません。

機能性便秘は、さらに次の3つの種類に分けられます。

種類大腸の状態
弛緩性便秘大腸の筋肉の緩みによりぜん動運動が弱まり、便がスムーズに運ばれなくなる
痙攣性便秘大腸のぜん動運動に連続性がなくなり、便の通過に時間がかかる
直腸性便秘直腸の知覚と反射が鈍くなり、直腸に便がきても便意を感じなくなる

便秘を改善させるには、自身がどの種類の便秘かを知ることも大切です。

器質性便秘

器質性便秘とは、大腸の形成的変化を伴う便秘です。原因となる疾患があり大腸の形が変わって、それが便秘の直接の原因になっています。

器質性便秘の種類は次の2種類に分けられます。

種類大腸の状態原因となる疾患
狭窄性大腸が狭窄(きょうさく)することによって、
便の通過が阻害されている
大腸がん
クローン病
虚血性大腸炎など
非狭窄性大腸の狭窄以外の特徴的な形態変化による便秘直腸がん
直腸重積
小腸がん
S状結腸がんなど

器質性便秘を改善するためには、原因となる疾患の治療が必要です。また、器質性便秘と自己判断するのは難しいため、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。

慢性便秘になる原因

慢性の機能性便秘の原因には次のようなことが考えられます。

  • ・腸内環境のバランスが崩れている
  • ・便意を我慢することが多い
  • ・運動不足で腸の動きが鈍くなっている
  • ・ストレスが溜まっている

それぞれの原因について、詳しく解説します。

腸内環境のバランスが崩れている

腸内環境のバランスが崩れると、便秘になりやすくなります。腸内には1000種類、100兆個の細菌が生息し、腸の働きをコントロールしています。

細菌は「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類に分けられ、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合が2:1:7の状態がもっとも良いバランスといわれています。

悪玉菌は、偏った食生活や、不規則な生活、ストレスなどが原因で増殖します。悪玉菌の割合が増えると、便秘や下痢などのトラブルにつながりやすくなります。

便意を我慢することが多い

便意を我慢してばかりいるのも、便秘の原因の1つです。直腸に便が溜まると腸壁が刺激され、脳に便意が伝えられますが、便意を我慢することが多いと脳に伝える神経が鈍ります。

便が直腸や肛門まで到達していても脳がそれを感じられません。そして便は腸で固くなり、ますます出にくい状態になります。

運動不足で腸の動きが鈍くなっている

運動不足で筋力が低下すると、便を押し出すために使う腹筋の力や、便を運ぶためのぜん動運動が弱くなります。

また腹筋の衰えで懸念されるのが、胃下垂や大腸下垂です。内臓下垂で腸が圧迫されると、ぜん動運動が起こりにくくなります。とくに女性は筋力が弱いため、注意が必要です。

ストレスが溜まっている

ストレスは、便秘の原因の1つです。腸の動きは自律神経がコントロールしており、ストレスにより自律神経が乱れると腸の動きが異常を起こし、便秘につながります。

ストレスが原因で起こる腸の不調は過敏性腸症候群といい、便秘だけでなく下痢の症状も現れます。便秘と下痢を交互に繰り返す場合もあります。

慢性便秘の解消方法

慢性の機能性便秘の主な解消方法は以下の4つです。

  • ・食生活を見直す
  • ・適度な運動を心がける
  • ・生活のリズムを整える
  • ・便秘薬を試してみる

それぞれの解消法について、詳しく解説します。

食生活を見直す

慢性便秘の解消には、食生活の見直しが必要です。バランスの良い食事を3食摂ることはもちろんですが、そのなかでも食物繊維・乳酸菌の積極的な摂取が便秘の改善につながります。

食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。両方をしっかり摂ることを毎日の食事で意識しましょう。食物繊維と乳酸菌が多く含まれている食材と、それぞれの役割は以下になります。

 役割多く含まれる食材
不溶性食物繊維便の量を増やして腸管を刺激し腸の運動を活性化させる根菜類
きのこ類
繊維のかたい野菜(たけのこなど)
水溶性食物繊維善玉菌を増やす便をやわらかくする果物
繊維のやわらかい野菜(キャベツ・にんじんなど)
海藻類
乳酸菌悪玉菌の増殖を抑える腸内菌のバランスをとるヨーグルト
チーズ
漬物
日本酒

ただし、大腸の便のぜん動運動が低下している場合や、便意を感じず便が出にくくなっている場合には、食物繊維の摂取が便秘の悪化につながる場合もあるので注意が必要です。

また、食物繊維や乳酸菌だけでなく、水分の摂取も便秘解消には不可欠です。水分を多く摂ると、便が水分で柔らかくなり、便が出やすくなります。1日の水分量の目安は2リットルです。

適度な運動を心がける

運動不足は便秘の原因となるため、適度な運動を心がけるようにしましょう。とくに腹筋がつくと便を押し出しやすくなります。腹筋を動かすと腸に刺激が与えられ、ぜん動運動が活発化します。

具体的には、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動や、胴体をねじる運動、体幹筋トレーニングがおすすめです。無理せず、自身に合ったペースで取り入れましょう。

生活のリズムを整える

生活のリズムが整えると自律神経が整いやすくなり、便秘の改善につながります。早寝・早起きを心がけ、睡眠不足にならないようにしましょう。日中はポジティブに活動し、寝る前はリラックスするのが大切です。

また、毎日同じ時間にトイレに座る習慣をつけると、排便を規則正しく行いやすくなります。便座に前かがみになって座り、便が出なければそのままトイレから出てかまいません。便を無理に出そうと強くいきむ必要もありません。

便秘薬を試してみる

なかなか便が出ないときは市販の便秘薬を試してみるのも良いです。その際には、酸化マグネシウムの便秘薬を試してみましょう。

酸化マグネシウムの便秘薬の特徴は、腸を直接刺激しないので、個人差はあるものの比較的腹痛が起こりにくい点です。腸の水分を集めて便を柔らかくし、自然な便の排出を促します。

ただし薬に過度に頼りすぎず、上述したように食生活や生活改善も並行して行うようにしましょう。

生活の改善をして慢性便秘を解消しよう

腸内細菌のバランスの崩れや、便意の我慢、運動不足、ストレスなど、さまざまなことが原因で慢性便秘になります。もし慢性便秘になってしまったら、食事・運動・生活リズムを見直し、便通の改善を試みると良いでしょう。

生活習慣の見直しや便秘薬を使っても便秘の症状が改善されない場合は、一度医療機関を受診することをおすすめします。

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