VOL.158 便秘改善に用いられる漢方薬は?種類や市販の治療薬の選び方も解説

便秘に悩んでいる方のなかには、改善方法として漢方薬を試してみたいと考えている方もいるのではないでしょうか。便秘にはいくつか種類があり、それぞれ原因や特徴が異なります。そのため、自身の便秘のタイプや原因を理解した上で対策することが大切です。
今回は、便秘の種類や特徴を整理した上で、漢方薬と市販便秘薬の種類や特徴をわかりやすく紹介します。さらに、日常生活の中で取り入れられる便秘対策についても解説します。便秘解消に向けて、できることから少しずつ取り組んでみましょう。
便秘の種類や特徴
慢性便秘は、便が大腸内にとどまって硬くなったり、排便回数が減少したりし、快適に排泄できない状態です。排便時に強くいきむ必要がある、残便感がある、直腸や肛門に詰まったような感覚がある場合は、慢性便秘の可能性があります。
便秘の主な種類として、機能性便秘、器質性便秘、薬剤性便秘、症候性便秘があげられます。それぞれの特徴は以下のとおりです。
| 便秘の種類 | 特徴 | 対策 |
|---|---|---|
| 機能性便秘 | 慢性便秘のなかでもっとも多い 直腸や肛門に明らかな異常がないにもかかわらず、便が出にくい状態 | 生活習慣の見直し 薬剤の使用 |
| 器質性便秘 | 大腸がんや腸の炎症などの病気が原因 腸が狭くなり、便がとおりにくくなる | 原因となる病気の治療 薬剤の使用 |
| 薬剤性便秘 | 薬剤の副作用によって起こる | 医師による薬剤の調整 |
| 症候性便秘 | 糖尿病やパーキンソン病などの病気によって腸の動きが弱くなることで起こる | 原因となる病気の治療 薬剤の使用 |
機能性便秘以外の便秘は病気や薬が原因となる場合が多いため、医療機関を受診して適切な治療を受ける必要があります。
なお、薬剤性便秘の場合、処方されている薬は自己判断で服用を中止せず、かかりつけの医師に相談することが重要です。
一方で、機能性便秘の場合は、生活習慣の見直しや市販薬の活用など、自身で取り組める対策を検討する方法もあります。
便秘改善に役立つ漢方薬の種類と効果・効能
漢方薬にはいくつか便秘改善への効果が期待できるものがあります。
漢方は東洋医学の考え方に基づき、生薬を調合した薬を使って体のバランスを整える治療法です。漢方治療では、便秘を「実(じつ)」と「虚(きょ)」という体質の違いに分けて考えます。
- ・「実」の便秘:体格がしっかりしており、胃腸の働きが比較的良い方に多いとされる
- ・「虚」の便秘:体格が細く、胃腸の働きが弱い方に多いとされる
便秘が「実」か「虚」かを見極め、さらに個々の体質や症状に合わせて漢方薬が選ばれます。以下では、便秘に用いられる代表的な漢方薬を6種類紹介します。
なお、ほかの薬を服用している方やアレルギーがある方は、事前に医師や薬剤師に相談してから使用しましょう。また、妊娠中は使用できない漢方薬もあるため、かかりつけの産婦人科に相談してください。
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
大黄甘草湯は、便秘に用いられる代表的な漢方薬の1つです。
主成分である大黄(だいおう)に含まれるセンノシドは、大腸を刺激し、ぜん動運動を高めて排便を促します。
大黄甘草湯は、「実」タイプの便秘に適するとされています。また、便秘に伴う腹部膨満感や肌荒れなどの症状に用いられる場合もあります。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
桃核承気湯は、腸内の水分量を増やすことで腸の動きを活発にし、排便を促す漢方薬です。
主に「実」タイプの便秘で、頭痛などの症状がみられる方に用いられることがあります。
また、月経時や産後の精神不安、月経不順などの改善にも使用される漢方薬です。女性で生理痛や便秘に悩む方に適するとされています。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
防風通聖散は、腸内の水分を増やして腸の動きを活発にする漢方薬です。体を温めて熱を発散し、エネルギー消費を高めることで、脂肪の分解や燃焼を促すとされています。
「実」タイプの便秘で、腹部の張りや肩こり、動悸、のぼせなどを伴う方に用いられます。便秘に伴う肥満症や肌荒れ、むくみなどの症状を改善するといわれています。
調胃承気湯(ちょういじょうきとう)
調胃承気湯は、慢性的に便秘で悩んでいる方に効果が期待できる漢方薬です。
「実」タイプの便秘で、お腹の張りや腹痛を伴う場合に用いられます。
大腸のぜん動運動を促し、大腸に溜まった余分な便を出すことで、便秘や便秘に伴う不快な症状を改善するといわれています。
麻子仁丸(ましにんがん)
麻子仁丸に含まれる麻子仁(ましにん)の油分は、便をやわらかくする働きがあるとされています。また、大黄も含まれているため、大腸を刺激して排便を促します。
高齢者や虚弱体質の方など、体力が低下している「虚」タイプの方の便秘に用いられる漢方薬です。とくに、コロコロとした硬い便が出る方に適するとされています。
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
桂枝加芍薬湯は、腸の筋肉の緊張を和らげ、動きを整える作用があるとされています。腸を刺激する生薬である大黄(だいおう)を含まないため、比較的穏やかな作用の漢方薬として知られています。
高齢者や虚弱体質など「虚」タイプの方にみられる便秘で、腹痛や残便感を伴う場合に用いられます。
漢方以外の市販便秘薬の種類や効果

便秘の治療には、漢方薬だけでなく、西洋薬の便秘薬も用いられます。西洋薬は科学的に分析された薬で、病気や症状に対してピンポイントで作用する点が特徴です。
市販の便秘薬には、常用できるものと短期間の使用に留めたほうが良いものがあります。そのため、便秘薬の特徴を理解した上で、自身の症状や状況に合わせて使い分けることが大切です。以下では、市販で購入できる主な便秘薬を3種類紹介します。
比較的穏やかな浸透圧性下剤
浸透圧性下剤のなかでも、国内で広く使用されているものに、酸化マグネシウム便秘薬があります。
酸化マグネシウム便秘薬は、腸内に水分を引き込むことで便をやわらかくし、排便を促します。腸を直接刺激するタイプの薬ではないため、比較的腹痛が起こりにくい傾向です。
酸化マグネシウム便秘薬は、ドラッグストアのほか、健栄製薬のオンラインショップなどで購入できます。便秘改善の選択肢の1つとして検討してみてください。
なお、購入する際は必ず使用上の注意をよく読み、用法・用量を守りましょう。腎臓の病気がある方や高齢の方は、服用前に医師や薬剤師に相談してください。
酸化マグネシウムについては、以下のコラムをあわせてご覧ください。
「【医師監修】酸化マグネシウム便秘薬とは?特徴や服用前のチェック項目を紹介」
腸を刺激する刺激性下剤
刺激性下剤は、腸を刺激してぜん動運動を促し、排便を助ける便秘薬です。内服後、短時間で効果が現れることが多いとされています。腸を直接刺激するため、腹痛を感じる場合がある薬です。
刺激性下剤を長期間使用すると、耐性や依存性が生じる可能性があります。そのため、使用する場合は短期間で最小限に留めましょう。
即効性がある浣腸・坐薬
浣腸や坐薬は、便が直腸に溜まり、排出されない場合に用いられます。
浣腸は、直腸を刺激するとともに便をやわらかくし、排便を促します。坐薬には炭酸ガスを発生させて直腸を刺激するものや、直腸の粘膜に直接作用して排便を促すものなどがあります。
健栄製薬ではグリセリンを配合した浣腸薬をオンラインショップで取り扱っているため、選択肢の1つとして検討してみてください。
ただし、浣腸や坐薬を繰り返し使用すると効果が弱くなる場合があるため、排便確認後の継続使用は控えましょう。購入の際は、使用上の注意をよく読んでから使用するようにしてください。
浣腸については、以下のコラムをあわせてご覧ください。
「【医師監修】浣腸の仕組みとは?使うタイミングや適切な使い方を解説」
便秘解消のために日常でできること
漢方薬や酸化マグネシウム便秘薬など、薬で便秘を改善することもできますが、普段の生活習慣から便秘を改善することも大切です。
ここからは、日常でできる便秘改善方法を紹介します。
食物繊維を意識した食事をする
食物繊維は、便のカサを増やしたり便をやわらかくしたりすることに加え、腸内細菌のエサとなって腸内環境を整える効果が期待できます。
食物繊維が多く含まれる食材は、穀物や芋類、果物、生野菜、きのこ類、藻類などです。
また、朝食を抜かず、1日3食バランス良く食べることも大切です。
食物繊維の多い食べ物については、以下のコラムをあわせてご覧ください。
「【医師監修】食物繊維が多い食べ物を紹介!摂取量の目安も解説」
水分をこまめに摂取する
水分が少なく硬い便は排出しにくく、便秘につながりやすいです。
便秘を改善するには、1日2リットルを目安に水分をこまめに摂取すると良いです。また、起床時にコップ1杯の水を飲むと、腸が目覚めて排便を促しやすくなります。
適度な運動やマッサージをする
適度に運動することで、腸のぜん動運動を促すことができます。さらに腹筋を鍛えれば、腸の動きや排便をサポートする効果も期待できます。
まずはウォーキングやヨガなど、自身が負担に感じない運動から始めてみましょう。また、「の」の字を書くように腸をマッサージするのもおすすめです。
運動については、以下のコラムをあわせてご覧ください。
「便秘はウォーキングで解消できる?歩く時間や速さを意識して健康な体を手に入れよう」
便意を感じたら早めにトイレに行く
便意を感じたら、早めにトイレに行く習慣をつけるようにしましょう。
排便を我慢する習慣がつくと、排便反射が弱まり、便が溜まっても便意を感じにくくなることがあります。毎日朝食後にトイレに座るなど、決まった時間に排便する習慣をつけることも大切です。
日常生活を見直し、状況に応じて便秘薬や漢方薬を適切に活用しよう
便秘対策では、まず生活習慣を見直すことが基本です。生活習慣の改善だけでは効果が得られない場合には、漢方薬や便秘薬を活用する方法もあります。
漢方薬は体質によって適した薬が異なるため、選び方に迷う場合は医療機関に相談してみましょう。
便秘薬は、一般的に刺激性下剤の前に、酸化マグネシウム便秘薬を始めとする浸透圧性下剤の使用が推奨されています。ほかに使用中の薬があったり、内服に不安を感じたりする場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
セルフケアを続けても便秘が改善しない場合や、腹痛、血便、体重減少などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
自身に合った対策を取り入れて、便秘解消を目指しましょう。







